「おお、そうか」
「何だよ」
「昔は無かったが、今の日本にはある矛盾はほとんど国が貧乏になっているという理由で説明可能だと気づいた」
「つまりなに?」
「世代間や、職種間などのグループ間抗争の激化。自由の制限。社会的な強い拘束。意味のない強力なリーダーの出現、右傾化、軍拡、戦争をやりたがる人達の出現、これらは全て貧乏の帰結と言える。衣食足りて礼節を知るならば、衣食が不足する貧乏こそが問題の根源」
「それで?」
「うん。実はね。末期ガミラスはこれに当てはまることに気づいたのだよ」
「つまりなんだい?」
「ガミラスは貧乏が進行中」
「具体的にどういうことだい?」
「ガミラスはヤマトが立ち去ったあとの冥王星で基地を再建できたはずだが、実際には再建されなかった。バラン基地を犠牲にする作戦は、ドメルとしては問題ないと思っていたが、デスラーは問題ありと思っていた。七色星団では、エリート部隊が集結したが、数は大幅に減った。本土決戦に至っては特殊ミサイルと牽引ビーム、そして爆雷と天井都市のビルをミサイルとして使っただけ」
「つまりなんだい?」
「ガミラスは急速に貧乏が進行していて、動かせる軍艦の数も減る一方。遠隔地での行動はできなくなる一方。最終的に、ヤマト一隻で滅ぼせるほどスケールが小さくなってしまっている」
「なぜ貧乏が進行していると思う?」
「その理由は知らないが、ガミラスの状況は症状として貧乏国家と非常によく似ている」
「独裁者がいて積極的に戦争をする国家は貧乏国だってことだね」
「そうだ。独裁者がいるから貧乏なのじゃない。貧乏国は独裁者を求めるのだ」
「他には?」
「ドメルに対する死刑判決のような極端な結論に走りがちなのも貧乏国の特徴だ」
「ゆとりが無いってことだね」